目次
RNNとは

RNNの基礎
RNNはニューラルネットワークの一種であり、その起源は1980年代にさかのぼります。ニューラルネットワークの基本的な概念は、人間の脳の機能を模倣しようとする試みから生まれました。その脳の神経細胞(ニューロン)をモデル化したものが「ニューロン」であり、これを組み合わせて多層構造を作ることにより、「ニューラルネットワーク」が形成されます。ニューラルネットワークの強みの一つは、その「学習能力」です。与えられたデータからパターンを学び、新たなデータに対して予測や判断を行うことができます。この学習能力が、人工知能や機械学習の重要な構成要素となっています。RNNもその一つであり、ニューロンが時間軸に沿って循環することで、過去の情報を引き継ぎながら新たな情報を処理していく、という特性を持っています。RNNの特性とその働き
RNNの最大の特性は「記憶力」です。従来のニューラルネットワークがある時点の入力情報だけを処理対象としていましたが、RNNはその一歩進んで、前のタイミングの入力情報(状態)を覚えておくことができるのです。これを「状態の保持」とも呼びます。そして他のニューラルネットワークと同様、学習によって、どのように前の状態を次の状態の更新に利用するかを学びます。つまり、RNNはデータの時間的な流れを自然に取り扱うことができます。この特性は、音声認識や自然言語処理など、時間的なつながりが重要なタスクにとって非常に有用なのです。RNN活用例
RNNの典型的な活用例として、音声認識や自然言語処理(NLP)が挙げられます。音声認識は、人間の音声を文字に変換する技術で、スマートスピーカーやスマートフォンの音声アシスタントなどで活用されています。また、NLPは人間の言葉をコンピュータが理解し処理する技術で、機械翻訳やチャットボットなど多岐にわたる分野で用いられています。それぞれの分野でRNNは、シーケンスデータという思考や言葉の流れを模したデータの取り扱いを得意とするため、高い精度とパフォーマンスを発揮しています。これらの例から、RNNが人工知能と機械学習の進化を支える重要な役割を担っていることが理解いただけるでしょう。LSTMとは?

LSTMの基本
LSTMはディープラーニングのアルゴリズムの中でも、特に時系列データを扱う際に威力を発揮します。なぜならば、通常のRNNは「長期依存性」という問題に直面するからです。これは、過去の情報が徐々に失われていき、ある時間点での予測に過去の情報がほとんど反映されないという問題で、LSTMはその解決策として現れました。LSTMは「ゲート」という概念を導入し、情報の更新と保持を適切に行うことで、上記の問題を克服しています。ゲートの働きにより、過去の情報が必要なときは保持しつつ、不要な情報は適宜削除することが可能になります。そのため、LSTMはRNNが苦手とする長期的なデータの予測でも高い性能を発揮します。LSTMの特性
LSTMの一番の特性は、「長期依存性」問題に対する強さです。つまり、時間の経過によって情報が消失することが少なく、過去の重要な情報を忘れないという特性を持っています。また、LSTMは様々な問題に高い精度で対応できるため、音声認識や自然言語処理、時系列予測など、幅広い分野で利用されています。とりわけ、一連のデータが時間の経過とともに変化する時系列データの予測において、精度良く結果を出力することが可能です。言葉や音楽のリズム、気温の変化など、時間とともにパターンが形成される多くの現象に対し、LSTMは有効な手段となるでしょう。LSTM活用例
シーケンスデータとは、時間的な順序を持つデータのことを指します。例えば、株価の動きや気象データ、音楽の旋律、文章の文節などがそれに該当します。このようなデータは時間的な経過とともに意味を成すため、それを考慮して解析する必要があります。LSTMはそのようなシーケンスデータの扱いに優れていることから、広範に活用されています。例えば、自然言語処理においては、文章の意味を理解するために単語の並びを考慮し、その語順による意味の変動を捉えるためにLSTMが用いられます。また、気象予測や株価予測でも、短期的な変動だけでなく長期的なトレンドを捉えるためにLSTMが採用されています。RNNとLSTMの違い

アルゴリズム比較
まず最初にアルゴリズムの観点からRNNとLSTMの相違点を見ていきましょう。RNNはシーケンスデータを処理することが得意です。それは時間的な順番を持つデータに対して、それぞれの要素を一つずつ順番に処理し、その結果を次のステップへと伝達していくという特性からなります。しかし、RNNは長いシーケンスのデータを扱う際に問題があります。それが、勾配の消失(または爆発)問題であり、シーケンスが長すぎると最初の情報が失われる可能性があります。 それに対して、LSTMは「ゲート」機能を持った特別なRNNと言えます。このゲートによって、どの情報を保持し、どの情報を忘れるかを制御します。これにより、LSTMは長いシーケンスデータを扱う際におけるRNNの勾配消失問題を克服します。データ処理の観点から見たRNNとLSTMの違い
次にデータ処理の観点から見たRNNとLSTMの相違点について説明します。RNNは一般的には、時系列データに対して有効に機能し、データの流れを順番に学習し、次のステップでの出力に前のステップの情報を利用します。しかし、過去の情報が未来に影響を与える、すなわち時間的な依存関係が長い場合には、その性能は落ちてしまうのが通常です。 一方で、LSTMは不要な情報を忘れる能力を持つため、RNNの限界を超えて、時間依存性が長いデータ処理においても有効に機能します。これは特に、文章や音声などの長いシーケンスデータを扱う場合に有効です。結論として、データの種類やその特性によって、RNNとLSTMを適切に選択することが求められます。RNNとLSTM、それぞれの利点と欠点を比較
長いシーケンスデータの処理にはLSTMが適していますが、ショートタームのデータを処理する際にはRNNが有効です。そのシンプルさから訓練時間はLSTMよりも短いという利点があります。しかし、その一方で、時間的な依存性が長いデータの処理能力が落ちるという欠点も存在します。 それに対して、LSTMは長いシーケンスデータを扱うことが可能ですが、その複雑さから訓練時間は長くなりがちです。また、ハイパーパラメータの調整も難易度が高くなります。しかし、その一方で、時間的な依存性が長いデータの処理能力が高いというメリットがあります。このように、RNNとLSTMにはそれぞれ利点と欠点があり、その選択は使用するデータや目的によって異なります。ニューラルネットワークの進化

理論的な進化を追う
まずはRNNの問題点から語り始めましょう。RNNは過去の情報を記憶して未来の予測に役立てる一方で、”勾配消失問題”という大きな欠点を抱えています。つまり、長いシーケンスにおいては先頭の情報は忘れられ、残念ながら長期の依存関係を学習することは難しいのです。この問題を解決すべくLSTMが生まれました。LSTMは「ゲート」と名付けられた構造を用いることで、情報をどの程度保持するか、忘却するかをコントロールします。これにより、遠くの過去の情報を適切に利用できるようになったのです。シーケンスデータ処理における進化
では、具体的にLSTMがどのようにRNNを進化させたのでしょうか。まず、RNNは時系列データを効率的に学習するためのネットワーク構造であり、各時点の入力に対して過去の情報を反映させることが可能です。しかし、長い時系列データを学習する場合、初めの情報が徐々に忘れられてしまい、精度が低下してしまうという問題がありました。LSTMはこうした問題を解決。ゲートにより情報の流れを調整することで、長期的な依存関係を学習することが可能となりました。結果に対する影響
LSTMの登場により、RNNが抱える勾配消失問題を克服。長いシーケンスデータを扱うタスクでも高いパフォーマンスを発揮することが可能となりました。例えば、自然言語処理における長文の「感情分析」や、「文章生成」などのタスクではLSTMが広く利用されています。また、RNNは固定長の入力しか受け付けられませんでしたが、LSTMは可変長のシーケンスを処理できるというメリットもあります。これにより、ニューラルネットワークを用いたデータ分析の幅が大きく広がりました。RNNとLSTMの適用
